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会議でだれも発言しない?「沈黙」のタイプ別3つの対処法
会議の悩み、じつにいろいろ寄せられています。
「同じ人ばかりが話していて、演説みたい」
「意見を求めても、し〜んとしてしまう…」
会議で悩んでいる人、本当に多いですよね。
きょうは、会議のなかの「沈黙」について、考えてみたいと思います。
会議の「沈黙」は、なぜ生まれるのか?
だれかが発言していれば、「沈黙」にはならない。
だれも発言していないと、「沈黙」が成立する。
なぜだれも発言しないのだろうか?
会議の「沈黙」には種類があるが、「発言しない理由」の種類が、そのまま「沈黙」の種類になる。
<会議における「沈黙」のタイプ>
- 黙って自分の考えをまとめている
- 話し手(あるいは進行役)が発言の途中で、黙ってしまった
- なにを話せばいいのかわからず、とりあえず黙っている
あたりだろうか。実際には他にもいろいろあるのだが、この3つのケースについて考えると、沈黙の「扱い方」がある程度見えてくる。
タイプ1:黙って自分の考えをまとめている
沈黙には、「必要な沈黙」と「不必要な沈黙」があるのだが、これは「必要な沈黙」にあたる。
考えをまとめている最中に、発言できないのは当然なので、こういう沈黙は別に気にしなくていい。
進行役の人も、ちょっと沈黙が訪れたからといって慌てないで、どんと構えていてほしい。付き合いはじめのカップルのデートではないのだから、そんなに沈黙を恐れなくていい。沈黙を恐れすぎている人がじつに多い。
「みんな黙ってるけど、考え中? じゃ、ちょっと考えタイムですね」
とかなんとか言って、3分くらいしたら「どうですか?」と尋ねる。これでOKだ。
活発な会議がもてはやされているが、沈黙が悪とは限らない。発言が多く活発なようでも、薄っぺらい議論ばかりしている団体は、薄っぺらいつながりしか育めず、活動の場も薄〜くなりがち。局面次第では、思い切って一人ひとりが自分自身と深く向き合い、正直な気持ちに気づいて、それを丁寧に伝え合うことが必要だ。
タイプ2:話し手が発言の途中で、黙ってしまった
話し手が発言を言い切らずに沈黙、というのは、意外によく起こっている。いつの間にか沈黙…というケースだ。
発言の途中で言葉に詰まってしまったり、語尾が曖昧で、最後のところがいまひとつはっきりと聞き取れない。
「で?」
と聞き返したくなるような曖昧な発言は、沈黙を招く。
進行役の人なら、こんな常套句のバリエーションを知っておくといい。
「◯◯さん、もう発言は終わりですか?」
「すみません、最後が聞き取れませんでした。もう一度お願いします」
「それは、◯◯◯という意味ですか?」
咎めるのではなく、ごく普通に尋ねる。
理解すべきなのは、「会議の発言は日常会話とは違う」ということ。
組織文化にもよるのだが、原則的に、会議ではジョークを飛ばしたっていいし、カジュアルな語り口でいい。堅苦しくしなくても、楽しくやればいいのだ。
だが、発言の「中身」は、はっきりさせなくてはならない。
会議はキャッチボール(あるいは円陣バレー)みたいなもの。だれに向かって投げたのか分からないようなボールは、無人の地面に
ぽとりと落ちてしまう。嫌な沈黙を招くことになる。
ポイントは、「最後まで言い切る」ということ。つぶやきみたいな発言、語尾が曖昧な発言は、その気はなくても、次の人の発言する勢いを削いでしまうのだ。
誤解しないでほしいのだが、「はっきりとした意見を述べるべき」というのではない。「意見をはっきりと述べよう」ということだ。
わからない部分があるなら、「ここが分からないんです」と、「はっきり」述べる。わからないことがはっきりしている、というのが肝なのだ。そうすれば、キャッチボールを始められる。
タイプ3:なにを話せばいいのかわからず、とりあえず黙っている
これは、もっともよくない「沈黙」の例だ。ただ黙っている。もはやなにも考えていない。困惑だけがそこにある。議題や論点が見失われて、沈黙が続き、さらに話しにくくなる。
こういうときは、進行役の人でもふつうの参加者の人でも、
「すみません。いまなにを考えればいいのか混乱してしまいました。どなたか、議論を整理してもらえませんか?」
と、「はっきり」と述べてしまうのが一番だ。語られない言葉があると、会議はその言葉に支配されてしまう。「なにを考えればいいのかわからない」ということが語られ、明るみに出ると、また会議が動き出す。だれかと目配せする。小声で話す──こういうのは逆効果なので、気を付けよう。
「話が分からなくなってしまいました。最後に発言した◯◯さん、すみませんが、さっきのところからもう一度話してもらえませんか?」
こんな言い方で、「沈黙の前のリプレイ」をお願いするのもいい方法だ。多くの場合、沈黙がある程度続くと、なにも考えていない人が続出する。ドラマのCM空けみたいに、ちょっと前のシーンからやり直そう。
完全に煮詰まってしまい、疲労して、どうしていいのかわからない。そんなときは休憩を入れて、休憩時間に何人かで話の筋道を整理するといい。このとき、やってはいけないのは、全体の休憩中に、「少数の人だけで話を進めてしまうこと」だ。
これでは、主体的な参加を組織できず、「小さな客体化」を招く。いっしょにがんばっていた人たちを、「お客さん」にしてしまうのだ。小声で話したり、目配せするのがよくないのも同じ理由からだ。やることは、あくまで「いままでの話の整理」にとどめること。
もしあなたが会議の進行役で、一人で議論の整理をする自信がないのなら、こう言うといい。
「ちょっと混乱してしまったので、休憩を入れて、その間に整理します。話を整理するときに、手伝ってほしい人には声をかけるので、そのときは一緒にお願いします!」
こんな風に、休憩前に全体に声をかけておけば、客体化を招かず、みんな主体的な状態のままで、会議の再開を待つことができる。
「沈黙」は発言した人のエネルギーを奪う
「必要な沈黙」にも「不必要な沈黙」にも共通しているのは、「沈黙」を通して、なにかを伝えることはできないということだ。日常会話の場と、意志決定を会議の場は、まったく別の場だ。だからどうか、会議の場では、無自覚に黙らないでほしい。
発言をすることは、「会議の場にエネルギーを提供すること」だ。
発言があったのに黙っていると、話し手からエネルギーを奪う。
(黙っている人にその気はなくても、実際にはそうなのだ。)
会議に限らず、どのような場にも共通するのだが、一方から一方へ、「一方向だけにエネルギーが流れる場」には、展開がない。全体のエネルギーも高まりにくい。要するに、力のない場になってしまうのだ。
だれかのエネルギーを受け取ったら、次のだれかにまわすのだ。発言した人、特定のだれかでなくても、「場」にエネルギーを戻す。このとき、ほんの少し「自分のエネルギー」をプラスして、次に人にまわすのが、豊かな場をつくるためのコツだ。
どうやればそんなことができるかというと、それが会議なら、具体的には「自分の気持ちを伝える。リアクションする」ということでいいのだ。
考えをまとめていると話せない! どうすれば?
自分の考えをまとめているときは発言できない。黙ってしまう。そんなときは、どうすればいいのだろう。
そんなときは、
「いま考えをまとめているので、少しだけ時間をください」
「ごめんなさい。黙ってしまっていたけど、いま考え中です」
とエクスキューズするといい。簡単だが、これで十分だ。
提案をした人、進行役の人、そして沈黙の直前に発言した人などは、なぜいまあなたが黙っているのか、その理由がわからない。理由も分からず、黙っている人を前にすると、どんな気持ちがするだろうか。
「どうしよう…」「気を悪くしたかな…」
そんな不安を感じているかもしれない。
一言「いま考え中! ちょっと待ってて!」と断るだけで、安心して、あなたの発言を待ってくれる。エネルギーも停滞せず、動きが生まれる。
良質な沈黙と、良質な発言で、楽しい会議に!
会議では、そこでなにかが生産されなければならない。
そして、コミュニケーションの成立は、生産そのものだ。
コミュニケーションの成立を迂回して、会議での生産はあり得ない。
良質な沈黙と、良質な発言で、楽しい会議を。
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