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![古い線路大2](http://osada.works/wp-content/uploads/2015/02/9287f0c7ed4f07197bff2e893ac7359d.jpg)
「脱・就活」「脱・婚活」のススメ
「就職おめでとう!」「結婚おめでとう!」
生活のなかでよくつかわれる「おめでとう!」ですが、
「本当におめでたいのかよ」と思うこと、ありませんか?
いま40歳以上の方は、景気のいい日本社会を知っていますよね。
「終身雇用・年功序列」で、敷かれたレールに乗っていれば、
安定した生活が、ある程度まで保障されていました。
勉強していい学校に進学し、いい会社に就職し、
いい相手と結婚をして、子どもを産んで家庭をつくる。
終身雇用と年金に守られ、死ぬまで生活には困らない。
こんな「幸福のモデル」がありました。
もちろん、「そんなの間違っている!」と言う人もいました。
(尾崎豊も、そんなことを歌っていましたねぇ。)
でも、大多数の人は、そう信じてがんばっていたし、
そこには、それなりの合理性と信憑性がありました。
就職や結婚は、「幸福鉄道」の駅みたいなもので、
そこを無事通過すると、「おめでとう」と言われたのです。
しかし、バブル崩壊と共に右肩上がりの経済が崩壊すると、
敷かれたレールは、あちこちで断線しました。
「幸福のモデル」は経済成長を大前提としていましたから、
バブル崩壊は致命的で、変化を余儀なくされました。
本来、新しい時代を希望を持って生きるためには、
新しいリアリティ、新しい力が必要です。
敷かれたレールを上手に走っていく力ではなく、
使いものにならなくなった古いレールを踏み越えて、
自分で自分の道を、幸福をみつけていく力。
そんな力が必要とされる時代へとシフトしました。
*
でも、急な変化に、急には対応できませんよね。
だから、いま「苦しいな…」と感じている人がたくさんいます。
いままでの成功体験から抜け出すのは、勇気がいります。
一方で、多くの若者たちが、「就活」「婚活」と煽られ、
バブル前の遺物、昭和の価値観に縛られています。
「そんなこと言っても、将来が不安…」
そういう大人は多いと思います。
若い人ほど不安かもしれません。
でも、自分の不安を、社会システムや他者で解消することは、
もうできない時代になってしまいました。
就職しても結婚しても、将来はなにも約束されません。
親の期待に応えるために結婚する人もたくさんいますが、
僕は「古いなぁ。好きに生きればいいのに」と思います。
「自分の息子・娘が結婚しない」ということに対して、
不安感や焦燥感を、自分の親が抱えているかもしれません。
でも、その不安や焦燥に向き合うのは、親の課題です。
もちろん、就職しても結婚してもいいんですよ。
「就活」「婚活」と聞いて、エネルギーが湧いてくる人は、
それを思い切りやればいいし、楽しめばいいですよね。
でも、「就活」「婚活」と聞くと元気がなくなる人は、
なにか「いい方法」を考えてみたら? と思うのです。
*
僕にとって、その「いい方法」とは、
自分の問題意識を生きられる「場」をつくることでした。
心のなかにだけ「?」を抱えていると、苦しくなります。
でも「場」をつくるのは、楽しいことなんです。
「場」ができると、くよくよ内面だけで悩むのではなく、
その「場」を通して、社会とかかわりながら、
それについて考え、深め、道を探ることができます。
深刻に考えないのが、ポイントですよ!
別に、いきなり会社を辞めたり、離婚したり、
世捨て人になって世界を放浪したりしなくていいんです。
生活のなかに、新しい「場」を組み込むこと、
それが「生活を変える」ことにつながります。
例えば、金曜の夜に、毎週そのための「場」をもつ。
他の日は、ふつうに働いたり、学校に通ったりしている。
それでいいんです。
劇的な変化、すぐ目に見える成果を求める心は、
もしかすると、ちょっと弱っているのかもしれません。
そんなときは、自分の心が元気になれる「場」を、
まずは自分のためにつくってみてください。
深刻にならず、楽しみながらやってみてはどうでしょう?
*
他人の期待を生きないで、自分自身を生きる。
社会通念を生きないで、自分自身を生きる。
自分自身を信じて、自分が信じる道を歩む。
こういうことについて考えるとき、僕は子どもたちを思います。
れんげ舎の子どもの活動で接している、子どもたちです。
彼らがどう生きようと、彼らの自由です。
ただ、彼らの目に僕自身がさらされるとき、
周囲に合わせて嘘をつく自分の姿ではなく、
自分自身に正直に生きる姿なら、
見られても恥ずかしくない──そう思うのです。
(*初出 メルマガ「場づくりのチカラ」2014/6/5号)
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