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古い線路大2

「脱・就活」「脱・婚活」のススメ

「就職おめでとう!」「結婚おめでとう!」

生活のなかでよくつかわれる「おめでとう!」ですが、
「本当におめでたいのかよ」と思うこと、ありませんか?
いま40歳以上の方は、景気のいい日本社会を知っていますよね。

「終身雇用・年功序列」で、敷かれたレールに乗っていれば、
安定した生活が、ある程度まで保障されていました。

勉強していい学校に進学し、いい会社に就職し、
いい相手と結婚をして、子どもを産んで家庭をつくる。
終身雇用と年金に守られ、死ぬまで生活には困らない。

こんな「幸福のモデル」がありました。

もちろん、「そんなの間違っている!」と言う人もいました。
(尾崎豊も、そんなことを歌っていましたねぇ。)

でも、大多数の人は、そう信じてがんばっていたし、
そこには、それなりの合理性と信憑性がありました。

就職や結婚は、「幸福鉄道」の駅みたいなもので、
そこを無事通過すると、「おめでとう」と言われたのです。
しかし、バブル崩壊と共に右肩上がりの経済が崩壊すると、
敷かれたレールは、あちこちで断線しました。

「幸福のモデル」は経済成長を大前提としていましたから、
バブル崩壊は致命的で、変化を余儀なくされました。

本来、新しい時代を希望を持って生きるためには、
新しいリアリティ、新しい力が必要です。

敷かれたレールを上手に走っていく力ではなく、
使いものにならなくなった古いレールを踏み越えて、
自分で自分の道を、幸福をみつけていく力。

そんな力が必要とされる時代へとシフトしました。

でも、急な変化に、急には対応できませんよね。

だから、いま「苦しいな…」と感じている人がたくさんいます。
いままでの成功体験から抜け出すのは、勇気がいります。

一方で、多くの若者たちが、「就活」「婚活」と煽られ、
バブル前の遺物、昭和の価値観に縛られています。

「そんなこと言っても、将来が不安…」

そういう大人は多いと思います。
若い人ほど不安かもしれません。

でも、自分の不安を、社会システムや他者で解消することは、
もうできない時代になってしまいました。

就職しても結婚しても、将来はなにも約束されません。

親の期待に応えるために結婚する人もたくさんいますが、
僕は「古いなぁ。好きに生きればいいのに」と思います。

「自分の息子・娘が結婚しない」ということに対して、
不安感や焦燥感を、自分の親が抱えているかもしれません。

でも、その不安や焦燥に向き合うのは、親の課題です。

もちろん、就職しても結婚してもいいんですよ。

「就活」「婚活」と聞いて、エネルギーが湧いてくる人は、
それを思い切りやればいいし、楽しめばいいですよね。

でも、「就活」「婚活」と聞くと元気がなくなる人は、
なにか「いい方法」を考えてみたら? と思うのです。

僕にとって、その「いい方法」とは、
自分の問題意識を生きられる「場」をつくることでした。

心のなかにだけ「?」を抱えていると、苦しくなります。
でも「場」をつくるのは、楽しいことなんです。

「場」ができると、くよくよ内面だけで悩むのではなく、
その「場」を通して、社会とかかわりながら、
それについて考え、深め、道を探ることができます。

深刻に考えないのが、ポイントですよ!

別に、いきなり会社を辞めたり、離婚したり、
世捨て人になって世界を放浪したりしなくていいんです。

生活のなかに、新しい「場」を組み込むこと、
それが「生活を変える」ことにつながります。

例えば、金曜の夜に、毎週そのための「場」をもつ。
他の日は、ふつうに働いたり、学校に通ったりしている。

それでいいんです。

劇的な変化、すぐ目に見える成果を求める心は、
もしかすると、ちょっと弱っているのかもしれません。

そんなときは、自分の心が元気になれる「場」を、
まずは自分のためにつくってみてください。

深刻にならず、楽しみながらやってみてはどうでしょう?

他人の期待を生きないで、自分自身を生きる。
社会通念を生きないで、自分自身を生きる。

自分自身を信じて、自分が信じる道を歩む。

こういうことについて考えるとき、僕は子どもたちを思います。
れんげ舎の子どもの活動で接している、子どもたちです。

彼らがどう生きようと、彼らの自由です。

ただ、彼らの目に僕自身がさらされるとき、

周囲に合わせて嘘をつく自分の姿ではなく、
自分自身に正直に生きる姿なら、
見られても恥ずかしくない──そう思うのです。

(*初出 メルマガ「場づくりのチカラ」2014/6/5号)

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